「ファルセット」という言葉、歌の解説などでよく耳にします。「裏声」と同じ意味で使われることが多いですが、実は奥が深くて魅力的な発声技術なんです。
歌唱に深みと彩りを与えるファルセットについて、その正体から出し方のコツまで分かりやすく解説します。
1. ファルセットとは何か?
ファルセット(Falsetto)は、イタリア語で「偽の・小さな声」を意味する falso に由来する言葉です。
日本語では一般的に「裏声」の一種として分類されます。最大の特徴は、「息が漏れるような、柔らかく繊細な響き」にあります。
地声との違い
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地声(チェストボイス): 声帯がしっかりと閉じて振動し、芯のある力強い音が出る。
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ファルセット: 声帯の一部だけを振動させ、あえて隙間から息を漏らすことで、浮遊感のある高い音を出す。
ファルセットは高音が出し易く、地声は高音が出しにくいという特徴がありますが
音程の高さや低さには本来は関係ありません。
2. ファルセットの魅力と効果
なぜ、プロの歌手はファルセットを多用するのでしょうか? それは、単に高い音を出すためだけではなく、以下のような感情表現に優れているからです。
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切なさ・儚さの演出: 息が混じることで、耳元で囁くような、あるいは消え入りそうな繊細な感情を表現できます。
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ギャップによるインパクト: 力強いサビの途中でフッとファルセットに切り替えることで、聴き手にハッとさせる驚きを与えます。
話し声のような説得力:人は話をする時には裏声を交えながら話してます。よって話してるようなニュアンスの言葉が歌になります。それこそが説得力です。
- ミックスボイスの習得のためにもファルセットは重要な基礎となります。

3. ファルセットを出すコツ
声帯の動き:
声は、喉にある声帯の2枚のヒダが閉じて音が出ますが、ファルセットを出すときは、声帯を閉じる力が弱くなります。この状態になっていると細くて弱い声になります。
そこで、息を止めるようにして力を入れ、腹筋、背筋から息を押し出すように声にすると
ファルセットでも芯のある通る声にすることが出来ます。
4. ファルセットの練習方法
エッジボイスから繋げる
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エッジボイス: エッジボイスで低い音程を出しそこからひっくり返して裏声で高い音程に以降します。わざと「ひっくり返る」感覚を何度も練習し、裏声に切り替わるスイッチの場所を把握しましょう。
軟口蓋に声が当たって、鼻の息が流れるはずです。真似から入る:
マスオさんの「え〜」を真似するのも良いでしょう。
ヨーデルの真似をするの良いでしょう。
響きを鼻へ抜ける「ハミング」
ファルセットは喉で鳴らすのではなく、鼻の奥(軟口蓋)に音をぶつけるイメージです。
ただし、鼻から息が抜けすぎるのはNGです。
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鼻歌(ハミング): 口を閉じ、「ん〜」と高い音を出します。鼻の付け根あたり(軟口蓋の上あたり)がビリビリと振動していれば、響きが正しい位置にあります。
鼻を摘まんで確認するのも良いと思います。(鼻を摘まむ時は口を開けてください)
腹式呼吸で「支える」
「裏声=弱い息」と思われがちですが、実は裏声こそ安定した強い息の支えが必要です。
そのためには「腹式呼吸」の習得が重要になります。
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腹筋、背筋に力を入れ、細く長い息を一定の量で吐き出しながら音を乗せます。
ストローを力強く吹くことで腹筋の動きを確認するのも練習としては良いでしょう。 -
息が漏れすぎると「スカスカ」な音になるので、少しずつ息の量を調節して、芯のある音を探してみてください。

5. ファルセットが印象的な歌手
イメージを掴むには、名手たちの歌声を聴くのが一番の近道です。
| アーティスト | 特徴 |
| サム・スミス | 絹のように滑らかな質感。 |
| 玉置浩二 | 吐息混じりのファルセットで、圧倒的な色気と説得力。 |
| King Gnu(井口理) | 地声とファルセットを自在に行き来する、高い技術が光る。 |
| MISIA | 非常に高い音域まで、力強さを保ったまま裏声へ繋げる技術。 |
まとめ
ファルセットは、決して「地声が出ないから使う逃げの声」ではありません。むしろ、楽曲に命を吹き込むための強力な武器です。
自分の喉の響きを楽しんでみると、歌唱がもっと楽しくなるはずですよ。

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